
「そんなつもりはなかった」「誤解を招き申し訳ない」というのは政治的言い逃れの常套句(じょうとうく)だ。どうやらそれに右も左も関係ないらしい。自民党の黄川田仁志沖縄・北方担当相が北方領土に臨む北海道の納沙布岬で「一番やっぱり外国に近い所ですから」「若い人たちが足を運んでこの距離感をしっかり見てほしい」と発言した。北方領土を外国呼ばわりするような発言だが、「真意が正しく伝わっていない」「誤解を与えたことをお詫(わ)びする」と釈明したという。現職議員ではないが共産党の池内沙織元衆議院議員は「高市総理を現地妻であるなどということを意図して書いたものではありませんでしたが、誤解を招く表現であったことをお詫びいたします」と「謝罪」した。「高市氏をみながら、『現地妻』という悲しい言葉を思い出す」というXでの投稿への釈明であった。どちらもつい先日の出来事である。
メディアでよく目にする政治的な言い逃れが社会に与える影響とは。「誤解を招いたとしたら申し訳ない」の著者で、言語哲学者の藤川直也さんによる寄稿です。
ここでみた二つの「誤解」云々(うんぬん)という言い訳は、政治的に問題のある発言や侮蔑的な発言をしたのにそれを誤解だと言い張り、なかったことにしようとする謝罪もどきである。
自分がやったことをあたかもやっていないかのように後になって否認する。そうすることで発言の責任から逃れようとする。そうした言い訳が白々しいものであればあるほど、それは言葉の責任を軽んじる振る舞いになる。
言葉の責任を軽んじる傾向は…







